先の投稿分に書いた、入手したてのアルバム、Joe Venutoの『Sounds Different!』は、きっかけは、サウンドであると同時に、収録曲に惹かれというものでしたので
Joe Venuto Sounds Different! (アルバム)
たぐりよせとなった曲、『Dancing On The Ceiling』について。

『Dancing On The Ceiling』は、ジャズ・スタンダード曲のひとつですが、だれでもがカヴァーしているというほどではないこともあり、ごく最近、今年の秋ぐちまで聴いたことがなかった曲なのですが(もしかしたら、その前にも聴いたことあったのかも知れませんけれど…)、ハワイからつれてきた1ダラ入手でありながら名盤というレコードの一枚、ジョージ・シアリングス(George Shearings)の『Velvet Carpet』に収録されていたヴァージョンを聴き、お気に入りソングとなったというものなのでした。
George Shearing VELVET CARPET (アルバム)

George Shearing Quintet: Dancing on the Ceiling (Rodgers / Hart, 1930)
アルバムとおして、秋冬にふさわしい、とてもセンチメンタルなアレンジ。そして、なんといっても惹かれたのは、1フレーズ織り込まれた、バッハの『目覚めよと呼ぶ声あり』だったのでした。



その際に、この曲の歌ヴァージョンが聴きたくなってサーチ、誘導されたいくつかあったヴァージョンのひとつが、ザ・スプリームズ((シュープリームス) The Supremes)もの。

このヴァージョンはひじょうにいいですね。はじめに聴いた歌詞ものだったので、印象も強いのですけれど、ダイアナ・ロスの甘めの歌声もすてきにイメージにぴったり。ショー的要素たっぷりなグランドなアレンジも。

Supremes:Dancing On The Ceiling



じつは、このときに、The Supremesが、ソングライターであるリチャード・ロジャースとローレンツ・ハート(Lorenz Hart & Richard Rodgers)のトリビュート的なアルバムをだしていることを知り、この2、3ヶ月、このアルバムのことも気になっていたりしたのですけれど、まずは、本日は、この曲、『Dancing On The Ceiling』について、とすることにします。

『Dancing On The Ceiling』は、1930年に、リチャード・ロジャースとローレンツ・ハートによってミュージカル『Ever Green』のために作られたもの。

『Ever Green』は、ブロードウェイ・ミュージカルを中心としていたふたりのロンドン・ミュージカル3作品の最後の作品でもあり、脚本もロジャースとハートのアイデアをもとに。
(脚本:ベン・レヴィー(Benn Levy)、プロデュース:チャールズ・ コクラン(Charles B. Cochran)、監督:フランク・コリンズ(Frank Collins)振り付け:バディ・ブラッドリー(Buddy Bradley)、ビリー・ピアス(Billy Pierce))

ミュージカル『Ever Green』は大ヒット、主演女優のジェシー・マシューズ(Jessie Matthews)は、一躍大女優となり、1934年には映画化も。

映画:Ever Green
Jessie Matthews:Dancing on the Ceiling
ジェシー・マシューズは、絶世の美女というタイプではないのですけれど、コミカルな動きもかわいくさまになる、なんともいえぬバランスのすてきな女優さんですね。



そもそも、この曲、歌詞をみたときに、ロマンチックでありながら、すこしこっけいさも感じさせ、そこが、またなんともすてきな歌だなぁと思ったのですけれど、やっぱりオリジナルは、コメディ的な側面ももつものなのですね。

作詞: LORENZ HART 作曲:RICHARD RODGERS

The World is lyrical because a miracle
Has brought my lover to me
Though he's some other place, his face I see
At night I creep in bed And never sleep in bed
But look above in the air and to my greatest joy, my love is there
He dances overhead on the ceiling near my bed
In my sight through the night
I try to hide in vain underneath my counterpane
There's my love up above
I whisper
Go away, my lover, it's not fair
But I'm so grateful to discover he's still there
I love my ceiling more since it is a dancing floor

サマリー的意訳:
この世は詩的、奇跡がおこるから。あなたを眠ろうとすると浮かぶ、ベッドの上、天井で踊っている、その場にはいない恋人の顔。「そんな風にそこにいるなんて(眠れなくなってしまう)、おねがいだからあっちへいって」、そうつぶやいてみる。それでも、まだそこにみえる恋人の姿。「あっちへいって」とは言ったけど、まだいてくれてよかった。

インストゥルメンタル作品もふくめ、ボーカル作品も女性ヴァージョンと男性ヴァージョンともに多くの方がカヴァー。
歌詞は、HeとSheの入れ替えなどで、あわせた感じになって。いつのころからか、どちらかというとコミカルな部分をおさえたようなアレンジも多くなっているのですね。でも、全体的に明るめの曲調にしあがっているものが多く :)
(『He Dances Overhead』(『She Dances Overhead』もあり)というタイトルで歌われていることも)

Frank Sinatra:Dancing on the Ceiling(1955年)
スタンダードの歌ものといえばこの方なフランク・シナトラも、もちろん歌っているのでした。ギターときらきらサウンドが美しいゆったりドリーミーなアレンジ。



Chet Baker:Dancing on the Ceiling
チェット・ベイカーといえばトランペットですが、かざりけないスタイルのさりげなさが特徴の、この方のシンギング・スタイルもまた、いいです。



と、ジャズ系が多いのですが、わぁ、これ、楽しいし、雰囲気もぴったりという、ポップス・ヴァージョンありました。ザ・スプリームスのポップ・ジャズより、いっそうポップス気なドティー・スティーブンスのヴァージョン。

Dodie Stevens:Dancing On The Ceiling



そして、昨日も書いたジョー・ヴェヌートのヴァージョン。

Joe Venuto:Dancing On The Ceiling

やっぱり、この曲、秀逸です。アレンジが好きであるということが大きいかとは思うのですけれど、インストゥルメンタル作品的要素とボーカル作品のよさを兼ねそなえ、自分が感じているこの曲の、まさに元来のイメージなのですよね。
(だからこそ、ぜひ、もう一度聴きたいとなったわけなのですけれど)



曲の再生リストもつくろうと思いながら、検索では同名異曲のほうが多くみつかるので、のびのびとなってしまっていましたが、このたび、ちゃんとさがしてみたところ、けっこうな数が集まりました。

Dancing On The Ceiling:再生リスト(いまのところ16曲。ぜんぶふつうに聴くともちろん長いです)



さらには、このことが、リチャード・ロジャースとローレンツ・ハートについてをようやくな機会となったようです。

(投稿:日本 2011年12月2日、ハワイ 12月1日)

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