ロミ山田さん手記『楽譜を抱いて』読後の気になり。まずはということで。この本を手にとったきっかけともなり、とりわけ知りたいと思っていた滞米時代のエピソードのひとつと、そこからつながり、広がった気になりもの。

アメリカでのミュージカル出演と、それらの大ヒットにまつわる話は、やはりとてもとても興味深いものでした。

その活躍、いろいろなエピソードがあるのですが、デビュー作品である『スージー・ウォンの世界』、その次の出演作品である『フラワー・ドラム・ソング』、ともに初演というわけではなくすでにヒットをしていた作品ではあるのですが、ロミ山田さん出演での「初」というものがブロードウェイ・ミュージカルのラスベガス公演。アメリカのエンターテイメント文化東西の新しいかたちであったのですね。その記録歴なロングラン・ヒット。

当時、アメリカのエンターテイメント界は、東洋ブームというような雰囲気もあり、新聞の演劇評などにとどまらず、メディアへも登場するようになっていったのだとか。ミュージカルへのキャスティングでも、すこしふしぎな英語を話す東洋人らしさは要素のひとつであり、一種のチャームであったと思うのですが、ラスベガス公演中には、地元新聞に「ロミズ・トーク」というコーナーもできたくらいだったそうです。

「ジャック・ベニー・ショー(Jack Benny Program)」へのテレビ出演も。出演は着物で、トンチンカンな質問をし、「日本娘」を困らせる司会者というような紹介から歌へというような展開。

映像とか動画サイトにはないんだろうなぁ、でも、みてみたいなぁと思っていたら…ありました:)
しかも、この本で、ロミさんが語っていたそのもののジャック・ベニー・ショー。

ロミ山田:支那の夜
動画にはくわしい情報がなかったのですが、お着物もヘアーも本での写真とおんなじなので。これですね

一連のテレビ出演のことを語られている中に興味深いことがあり。
ロミ山田さんに関してというだけではなく、アメリカでのジャパン感情報の知識のひとつとして、いろんなことをつなげさせていただくことにもなったなぁが。
それは、当時のアメリカ人が好きな日本の曲についてなのです。

『支那の夜』と『蘇州夜曲』は、「戦争中から海外放送で『China Night』または『China Baby In My Arms』として放送されアメリカ人の愛唱歌となっており、戦後日本に来たアメリカ兵の多くが、このレコードをお土産に買って帰ったのだそうです」(p101「アメリカ人の好きな曲」)ということで、番組からのリクエストで歌ったということで。

なじんでいる曲でも、いまだ知らないことはたくさんあるのだなぁという一例でもあるのですけど、渡辺はま子さんの歌唱で有名な、西條八十氏の作詞、竹岡信幸氏の作曲『支那の夜』(映画、『支那の夜』の主題曲で劇中では、李香蘭(山口淑子さん)が歌唱)。

渡辺はま子:支那の夜(1938年)

李香蘭(山口淑子):映画:支那の夜

いままでとはまたちがった興味がわいてきたので、さらに調べを。
たしかに、『China Night』は、アメリカでは戦地を思うものではあるのですが、郷愁をもって聴かれている曲なのですね。さらには通称もあるそうで、『Shina no Yoru』という響きを英語的にして…『She Ain't Got No Yo-Yo』とも呼ばれてたのですね(これにはさらなる意味もあるとか、ないとか)

1960年代に入っても、アジアを感じさせる曲として根強い人気があったのだろうなあということを思わせるのは、坂本九さんも『SUKIYAKI(上を向いて歩こう)』の米国および世界的ヒット後のアメリカでのシングルが『China Nights (Shina No Yoru)』だったり。こちらは、英語の歌詞もあり、英語の歌詞の方は、なんだか中国と日本の叙情が若干まざったような。

Kyu Sakamoto:China Nights (Shina No Yoru) (1963年)

この歌詞にもあるように、『支那の夜』自体は中国を想う内容でありながらも、やはりアメリカ人には日本を想う曲としてなじんでいたことがわかりますね。『She Ain't Got No Yo-Yo』。

それで、この一連で「あぁ!!」と思ったのが、この曲でした。戦後のなんちゃってオリエンタルな感じの不思議ニホンゴ曲、The Nightcaps (or Nitecaps)の『Bamboo Rock and Roll』。

この曲は、つぼな要素もりだくださんなのですけど、"…She Ain't Got No Yo-Yo…♪"というくだり、気になっていたのですよね。とちょっとした謎解き(?)の一歩ともなり。さらにはちょっとおもしろいGI語辞典みたいなサイトもみつけちゃいました。三沢基地での隠語やスラングまとめたものみたいです。USAFSS Misawa Family - Memories/Misawaese

Bakatare, hi hi~♪ Bakatare, hi hi~♪

The Nightcaps (or Nitecaps)

こんなぐるぐる。
第二次世界大戦にはいろんな思いがありますけれど、戦前・戦中・戦後のこと、独特なアメリカからみたアジア、日本などは永遠のテーマのひとつであります。

(投稿:日本 2012年5月24日、ハワイ 5月23日)

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