レコードを整理するたびに、また聴いてみなくちゃと、みつめるアルバム。
手にした当時、愛聴だったからというより、あまり聴きこまなかったから、というものが、なんだか気になるものです。

EP - 4の『リンガ・フランカ 1 昭和大赦』は、まさにそんな一枚。
「聴きこまなかった」というのは、ある意味ちがうのかもしれないのですけれど、このアルバムは、何度聴いてみても、文字やビジュアル、情報ではいってくる、このユニットのメッセージというものと、そのサウンドが、それぞれに気になる部分、ひかれる部分があったのですけれど、自分の中でどうもくいちがうという印象をもった一枚でした。
(たぶん「気になり」は、そこにもあったのだと思うのです)

答えさがしのように、きょうは、この『リンガ・フランカ 1 昭和大赦』に、30年弱ぶりに針をおとしてみました。

きっかけは、バス停でみかけた、このステッカー


早稲田の馬場下町、大学ちかくです

バスを待っていたわけでもなく、そこを通りすぎただけなのですが、目に飛び込んできた小さくも、時がさかのぼったような光景に、思わず、「えっ?」まさか。見まちがえ?
(まさに目をこすってみる、という感じで)再度、確認。
まちがいなく、あのステッカーです、「EP-4 5・21」
「あ、ほんとだ。みまちがえじゃない…」と写真におさめ…

まさか、1983年のあのときから…などしばし考え。
そういえば、再販のニュース、目にしたような…

そう、『リ・ン・ガ・フ・ラ・ン・カ DELUXE (Lingua Franca - An Edition Deluxe -)』という
「「リンガ・フランカ-1/昭和大赦」(1983年/日本コロムビア)と「リンガ・フランカ-X/昭和崩御」(同年/ペヨトル工房)+ボーナス・トラックのデラックス・エディション」リマスタリングが、EP-4、佐藤薫責任監修により、「28年目の正式発売」ということで発売されたのでしたね。

う~ん、それにしてもあるのステッカー、付録か何かでついていたのかなぁ、と調べてみたりしたところ、数は限られていたようですが、どうやらそうらしく。
という訳で、1983年の置き土産、では、なかったのですけれど、
1983年5月21日アルバム発売の一連の、、あのときとおなじように、まさにな場所に貼ってあったことに、当時の感覚的な記憶がよみがえりました(あのときも、電話ボックスとか、バス停とか、電柱とか、そんなような場所に貼ってあり)。

わたしは、この再販のときにちょっとした動きがあったことに気づかなかったのですけれど、「EP-4 5・21」ステッカー発見の旅 写真集、として、今年の5・21にむけ、公共の場所に貼られた写真をトゥギャッターにまとめたというものもみつけました。
トゥギャッター(by grn_spdr さん):EP-4 5・21:「EP-4 5・21」ステッカー発見の旅 写真集 + α

すこし長くなってしまいましたけれど、1983年当時、「昭和崩御」のタイトルがレコ倫に触れ、発売中止となり、「昭和大赦」というタイトルで発売されるなど、いろいろあったこと、くわしくは把握しきれないままだったということをとてもよく覚えているのです(高校1年生になったばかりのころ)。
個人的には、「崩御」はたしかにふれるのもわからなくもないですけれど、むしろ、正式に発売された(所有の)「昭和大赦」のジャケットは、かなりショッキングだったのでした。ともに写真は、藤原新也さんで、同氏は、アルバムによせた文章もお書きになっています。

このジャケット話やタイトル、カセットブックへという流れなどは、ブログなどでも書いてる方も多く、自分が思うところにちかいかなぁというこちら2つのサイトをリンクさせていただきます。

SDC(セイカ・デザイン・クラブ):グレ~トレコジャケ・ダイアリー:EP-4 "Lingua Franca ~昭和大赦~"(日本コロムビア,AF-7205,'83)

POP ACADEMY:EP-4


あらためて聴いてみた感想は、やっと、ここから、です。

EP-4、そしてこのアルバム、やっぱりすごいですね。いま、ようやく、メッセージとサウンドが一致して聴こえてきました。

自分が当時よりはすこし物を考え、世の中というものを感じたりするようになったからというのもあるのでしょうが、もしかしたら、こういう風になった、いまの時代だから、あのときのメッセージはこんなだったのか、というのもあるかもしれません。

藤原新也氏がよせた文章は、一巡聴いてから読んだのですけれど、あああ!という感じで。たとえとして、ピンク・フロイドをあげていたこと。

わたし自身、このアルバムをあらためて聴いたときに、サウンドはファンクなのですけれど、ピンク・フロイドの叫びやノイズと同質のような、またちがったような、でも比較してしまう、というものを感じたのでした。

ということで、氏のコメントを一部抜粋

「…一見サンバ風のフットワークを踏んでいるようにみえるThe Fump Jump(曲名)にしたところで、それは、南米の光の下で…うまれたものではなく、45分毎に三錠のヴィタミンEの化学反応によって得られる質のリズムと持続であるように思える。その奇妙なフットワークの中で、多分EP-4独自のものだと思われる、いくつかの曖昧な肉声を聞いた。彼らの一度だけ使う犬の声は、例えばピンクフロイドの犬の声が、都市からその外部の彼方の開かれたものに向う遠吠えであるのとは異なって、目の前の資金距離の都市のエッヂに食らいつく… 80年代の赤子固有に持つ宿命だろう…」

オリジナルのタイトルだった「崩御」が象徴するものは、昭和50代になり一気におとずれた、時代が生み、抱え込んだ、「やまい」のようなものだったりするのではなかったのかなぁ、などとも思い、いまの時代につづく一連の、何か、も感じます。

ひじょうに1980年代的なエッセンスをもちつつ、サウンドとしては、あの当時の一連ともまったくことなりますね。
個人的には、当時受けた印象より、さらに新鮮に感じました。
たしかに、カッコいいです。これは、ほんと、いまでも、まちがえなく。
ファンクであり、プログレであり、インダストリアルな中に響く、先にあるような一種独特の生命感。
(海外の方のジャンル解釈でもJapanese Progressiveとなってるものが)

ノイズ音やリズムの要素もさまざま。ぶくぶくの水の泡、お囃子、相撲太鼓などのようなパーカッション。お題目のようなチャントのようなボイス。

熱心なファンの方は、そのあたりの意味や示唆するものに関しても語られているのでしょうけれど、この度の再販にあたり、評価、コメントなど、サウンドとあのときの現象などを語るにとどまっているものが多いみたいですね。

例えば、こんな感じだったりします(これは、DELUXの前に再販された『昭和大赦』の…内容紹介)
「ZAZOUに続く渋谷ジャズ維新「NO SHIBUYA」シリーズ第2弾!覚醒!!ヘヴィーでインダストリアルなエレクトロ・ファンク! 東京NO WAVEの最重要ユニット EP-4唯一のアルバムが遂に復刻!JAZZANOVAも注目のエレクトロ・ブレイクビーツの中でも最も人気が高いEP-4唯一のアルバムが遂にCD化! 全編を貫くヘヴィーでクールなファンクネスと毒を孕んだポップ・エッセンスとエレクトロ・ビート。重たいビートと鳴り響く鐘の音で始まる「ロボフッド・プロセス」。ジャコ・パストリアスのフレーズを思わせるイントロがファンキーな「ザ・フランプ・ジャンプ」。ギターのカッティングに重たいビートが絡みつく「シミラー」。コミカルな“ココ、ココ、ココ”というヴォイスがマッドな世界を形成する「ココナッツ」などどれもが身震いするほどのカッコよさ!」


アルバムとして聴いたのは、『リンガ・フランカ 1 昭和大赦』ですけれど、『リンガフランカ X 昭和崩御』も動画(こちらがまた映像もすごいです)ありましたので。

リンガ・フランカ 1 昭和大赦
1. ロボットフッド・プロセス



2. ザ・フランプ・ジャンプ
3. シミラー



4. ココナッツ
5. E・パワー
6. トーキン・トラッシュ
7. ブロークン・バイサクル
8. タイド・ゲージ


リンガフランカ X 昭和崩御
1. ココ



2. ディービー



3. ゾーイ



4. ストレンジネス

カセットブック、ペヨトル工房、当時の京都のミュージックシーンなど、いろいろほかにも当時ならでは関連へともつながるっていきますが、もうすでに相当に長くなってしまいました。あいかわらず

EP-4といえばの佐藤薫さんは、とてもパワーを感じる方で。
最近は、また、佐藤薫+BANANA-UG(EP-4 Unit3)としての活動もされているようですね。

先月には、9月1日から日、江戸糸あやつり人形座 創立7周年記念特別公演「アルトー24時」の音楽も。
佐藤薫(EP-4 Unit3)特別インタヴュー | アルトー24時 | 芥正彦

(投稿:日本 2011年10月3日、ハワイ 10月2日)

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