こんな名盤、なんでいままで知らなかったのかな。もっと早く聴いてればよかった、いや、出会えただけでもよかったと思おう。
そんな気持ちで、シェリー・マン&ヒズ・フレンズの『マイ・フェアレディ(Modern Jazz Performances Of Songs From My Fair Lady)』をここ数日くり返し聴いております。

このアルバムにめぐりあえたのは、ちょっとしたきっかけあって(「ちょっとした」とはいってもかなり長い気になりが引き金となったのでそちらは「つづき」に)、シェリー・マン(Shelly Manne)とアンドレ・プレヴィン(Andre Previn)のワークをたどったりしてことから。

曲の試聴で、そのすばらしさにノックダウン状態。まいってしまいました。

Shelly Manne and His Friends:I Could Have Danced All Night (1956)

ありえないほど洒落た不協和音スパイスが効いたピアノ、クールにドタバタ(よい意味で)なドラムス。シェリー・マンとアンドレ・プレヴィン、ルロイ・ヴィネガーというトリオならではのサウンド。
なんと言い表せばよいのやら。でんぐり返し的というか、なんというか、のたうちまわりたいような感動を覚えました。

即、アルバム入手し、通しで数回、また数回と。
じつにかっこいいですね。もう、そのひと言につきるかと。

スタイリッシュでマニッシュ、と同時に、フェミニンでエレガントなソフィスティケーションも。相反するようなこの感覚が絶妙に共存してて。

全曲すばらしい。中でも、先の"I Could Have Danced All Night"は格別ですが、"Ascot Gavotte"なんかもかなり好きです。

Shelly Manne and His Friends:Ascot Gavotte

ミュージカル『マイ・フェア・レディ』がもすばらしい作品であり、という前提もあるので、そんなこんなもすこし。

『マイ・フェア・レディ』の原作はジョージ・バーナード・ショーにより戯曲として制作された『ピグマリオン』。「ミュージカル」というフォームをバーナード・ショーは好まず、存命中はミュージカル化はならず。
没後、作詞・脚本アラン・ジェイ・ラーナー、作曲フレデリック・ロウでミュージカル化となり。
(タイトルの変更も成功であったと思われ。でも、エピソード記載すると長くなっちゃうのでくわしくはこちら参照
ジュリー・アンドリュースを一躍有名にした作品ですが、また逆もしかりで、ジュリー・アンドリュースがまさにふさわしくイライザを演じたから、ともいえるのでしょう。
(自分としてはなじみがあるのは1964年の映画版(アンドレ・プレヴィンが音楽監修してます)であるオードリー・ヘプバーンのヴァージョンですが、舞台としてはいかにジュリー・アンドリュースが生き生きと演じそうかは想像でき)

ミュージカル『マイ・フェア・レディ』は1956年3月初演で、瞬く間に大ヒット。

話をアルバムにまた戻しまして。

それまでも、ミュージカルの主題歌や使用曲がジャズ的に要素のものなどはあったものの、ミュージカルの楽曲を独立したアルバムとして、ジャズ・アレンジし、リリースしたのは、このシェリー・マン&ヒズ・フレンズの『マイ・フェアレディ(Modern Jazz Performances Of Songs From My Fair Lady)』がはしりなのですね。録音は同年の8月ということで、半年もたたずして。

『マイ・フェア・レディ』そのものの人気もさることながら、このアルバムのサウンド・性格そのものもイライザっぽさをもっているし。名作、名盤ですね。

当時、最も売れたジャズ・アルバムといわれたそうで。

それが、約55年前。いまでも、生き生きとフレッシュで、ありえないほどすてきなノリと洗練された完成度。不朽。
名盤というものは、色あせないものなのだなあとつくづくなのであります。

Modern Jazz Performances Of Songs From My Fair Lady
再生リスト
動画に上がってる分で再生リストもつくってみました

(投稿:日本 2012年10月27日、ハワイ 10月26日)


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