このところ、瀬川昌久さんと大谷能生さん共著の『日本ジャズの誕生』を読んでいます。対談形式の指南書的構成で、とりあげている楽曲のデータなども記されているので、読みながらその音源を捜し、そしてそこから関連でおもしろいものをみつけ、また本で調べてというような感じで、またもや、読み進み具合がかなりゆっくり。すでに知っていたことも、またさらに、そして新しく知ることはたくさん。

とっても楽しい解説で気になりどころ満載のこちらの本での気になり人のひとりは、作曲家、編曲家、そして、クラリネット・サックス奏者、指揮者でもある佐野鋤さん。

1923年に17歳で三越少年音楽隊に入団(お姉さまが三越に勤められていたこから、鋤さんも三越に就職、その後すぐ音楽隊に)。いくつかの楽団を経て、バンドマンとして活躍。その後ユニオン楽団で新しく入ってきた服部良一さんとの出会いから編曲家、作曲家としての活躍がはじまったと言ってもよいようですね。街の中から生まれる「書生節」から日本のティンパンアレイへと、プロ作詞、作曲の時代へというころ、服部良一さんがエマヌエル・メッテルに師事していたことを知ったユニオン楽団リーダーの菊池博の提案により、音楽理論や作編曲の勉強会が設けられた「響友会」に参加。課題曲を決めてジャズ風にアレンジをするなどという宿題もよくあったそうです。

そんなトレーニングをつまれてきたからこそのすばらしさを感じる佐野鋤アレンジ曲、1940年代ぐらいのものをいくつか聴いてみました。



こちらのとってもかっこいいアレンジの『佐渡おけさ』は、1942年(昭和17年)、編曲:佐野鋤、演奏:ビクター・スヰンガーズ(日本ビクター軽音楽団)というものですが、ピアノ、そして4サックス、5ブラスの音すばらしいですよね!!

本『日本ジャズの誕生』にも、「このバンドは民謡集がいいですよ…戦後のバンドみたいな」とあるように、ほんと民謡アレンジすばらしいです。ジャズで民謡ってけっこう多いと思うのですが、このあたりがスタートだったんでしょうか。

同じく佐野鋤さんアレンジの『お江戸日本橋』。この曲、ジャズのアレンジ多いと思うのですが、このかっこよさは、ジャズ・アレンジ民謡初期のものながら、後の作品もなかなかかなわないのではと思ってしまうぐらいです。
イントロがたまりません!そして、飛び込んでくる感じのそれぞれのパート・ソロがとってもすてき。



収録年はわからないのですが、『炭坑節』。こちらは「ビクター管弦樂団」そして「V-40461」となってますが、さきほどの2曲は、「ビクター・スヰンガーズ」で「V-40494」、番号からこちらの方が先に録音されたものでしょうか。収録年って、こんな感じの判断ということであってるのかな、まだまだ勉強不足、知識不足。
こちらも、かなりかっこいいです。戦後の音っぽい感じですが、多分昭和10年代なのですよね、きっと。



佐野鋤さん、かなり気になっているので、多分これからもこちらに登場となると思います。息子さんの佐野博美さんの本、『佐野鋤・音楽とその生涯―昭和の民衆音楽と共に生き抜いた人生』も興味あり。
部分的に「Wikipedia:佐野鋤」からの情報によると牛込出身とのこと。ご近所さん系でもあり。

(投稿:日本 2010年6月13日、ハワイ 6月12日)

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