笠井紀美子さん初期、世良譲トリオとのワーク、ザ・モダン・プレイング・メイトによるアルバム『ザ・モダン・プレイング・メイト』が数日前に届きました。「ザ・モダン・プレイング・メイト(世良譲トリオ・イントロデューシング・笠井紀美子)」とあるように世良譲さんを中心とした世良譲トリオ(メンバー、ピアノ:世良譲、ベース:栗田八郎さん、ドラムス:ジミー竹内)が笠井紀美子さんのスキャット中心のボーカルをエスコート、ボサノヴァとジャズがほどよくミックスされたとってもすてきなアルバム、1967年の作品。パーカッションでは、コンガで池田晴紀さん、ボンゴで川原正美さんが参加、山倉たかしさんがアレンジ。阿吽の呼吸、息の合ったレコーディングを感じさせるジャケットもかっこよく、センス溢れる1枚です。

全ての曲がすばらしいので、数曲の音とそれぞれのナンバーについて記しておきたいと思います(*印が笠井紀美子さんのスキャットもの)。

1(A-1)ソー・ダンソ・サンバ*:
「ジャズ・サンバ」ともいわれる『ソー・ダンソ・サンバ(SO DANCO SAMBA)』、アントニオ・カルロス・ジョビンのカヴァー。「ただ踊るだけ」という意味のわたしも大好きなナンバーです。イントロのアレンジも最高にかっこよく、笠井さんのビタースイートなスキャットが効いたスタイリッシュなヴァージョン。

2(A-2)枯葉:
ジョセフ・コスマ作曲のジャズおなじみのナンバー。こちらの曲、わたしが最もなじんでいるのは、ビル・エヴァンスのものですが、こちらも世良譲さんのピアノの魅力あふれ、「クールな」感じのアレンジ。世良さんのピアノ、いいですね。

3(A-3)キャント・ゲット・オーヴァー*:
すてきなボッサ・ナンバー。パーカッションがサンバムードをもりたてつつ、洗練されたピアノが、クールサマーな都会のサンバといった感じですね。



4(A-4)デイ・バイ・デイ*:
こちらも大好きな曲のカヴァー。サミー・カーン、アクセル・ストーダール、ポール・ウェストンの作詞、作曲もの。フランク・シナトラやアストラッド・ジルベルトなどがおなじみですね。こちらのアレンジは、ちょっとけだるさを残しつつも大人なライト感覚。すべてスキャット仕立て。

5(A-5)不思議な国のアリス:
おなじみディズニーの『不思議な国のアリス』のテーマ。ビル・エヴァンスのピアノ演奏などでもありますが、ザ・モダン・プレイング・メイト版はドリーミングなピアノとベースのからみが最高にすてきです。

6(B-1)いそしぎ*:
エリザベス・テイラー、リチャード・バートンの映画『いそしぎ』のテーマでもある同名曲。いろいろな方がカヴァーされていますが、ザ・モダン・プレイング・メイトらしさ(だんだんわかりかけてきていますw)が感じられるヴァージョン。ちょっとおさえたパーカッションがよい感じ。

7(B-2)アイ・ラヴ・パリ:
最高のパーカッション!ベースのリズムとピアノのスウィング、軽やかなドラミング、まさにごきげんなアレンジ。いままで聴いてきた同曲のさまざまなヴァージョンの中でもこちら、かなりお気に入りになったヴァージョンです。

8(B-3)ケメコ*:
ご自身の愛称、「ケメコ」をタイトルにした笠井紀美子さん作曲の『ケメコ』。当時の歌謡曲を洗練させたようなメロディーライン。栗田八郎さんのベースで始まるイントロがとにかくかっこいい。



9(B-4)サマータイム:
ワルツのリズムに山倉たかしさんがアレンジしたという『サマータイム』、こちらもピアノとベースのからみがすばらしく、かなりグレードの高いワークですね。世界レベルでもと言って過言ではないと思います。

10(B-5)ホワット・アイ・セイ:
レイ・チャールズでおなじみのゴスペルナンバー『ホワット・アイ・セイ』。世良さんのロックでジャジーなピアノがかっこいい!!すべてすばらしいこのアルバムの中でも、とりわけ気に入ってます。



当時21歳の笠井紀美子さんすばらしいです。その後も「スイングジャーナル」の女性シンガー部門で7年間もトップの座を獲得していたというのも納得なボーカル・ワークです。
新しいライナーノーツでは原田和典さんが、笠井さんのスキャットを伊集加代子さんと比較し、伊集さんが「ピュアでクリアな直情型とすれば、笠井のそれにはどこかビタースウィートなけさるさがあり…」と述べてらっしゃいますが、そう、まさしく「ビタースウィート」!
先日とりあげたアルバム『TOKYO SPECIAL』ではプロデュースもされていましたが、クリエイティブ側のワークもこの21歳の頃からすでに始まっていたのですね。現在はアメリカ西海岸でジュエリーデザインをされてるようです。

そして、世良譲トリオ、最高です。栗田八郎さんと世良譲さんは白木秀雄クインテットでも一緒だったんですね。ベースとピアノの息がぴったり。原信夫シャープス&フラッツ、小原重徳&ブルーコーツ、鈴木章治とリズムエース、渡辺晋とシックスジョーズなどで得たセンスがさえるジミー竹内さんのドラムスも。

購入を決めた時点でこれは間違いなくお気に入りアルバムになるはずと確信していましたが、思っていた以上にすばらしく。いま聴いてもおしゃれなサウンド、各メンバーの個性とセンス、そして、あらためて日本のジャズのレベルの高さを感じました。

(投稿:日本 2010年7月29日、ハワイ 7月28日)


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