先日のJoe Venutoのひきよせともなった曲、『Dancing On The Ceiling』をきかっけに
Joe Venuto Sounds Different! (アルバム)
ここ数ヶ月、気になっていたもの、なんとか手ごろに入手できないかと、再度さがし、やっぱり購入いたしました。The Supremes(ザ・スプリームズ(シュープリームス))の『Sing Rodgers & Hart』。
このアルバム、ソングライター・コンビ、リチャード・ロジャースとローレンツ・ハートのトリビュート作品として、ふたりの作によるスタンダード名曲をThe Supremesが歌ったという、1967年の作品です。ポップ・ジャズのアレンジで、グランドな感じのショーを思わせる、ごきげんなアルバム。
12月は、エンターテイメント感のあるフェスティブ・イメージというのが自分の中ではあり、おうちでショー気分を味わえるようなところも、タイミングとしてはまさにな感じだったりします。
なんとなく知ってるというナンバーから、きわめておなじみのナンバーも、というリチャード・ロジャースとローレンツ・ハートの作品たち。メロディーはなじんできていたものの、その詞世界、作品全体としてのいわゆるロジャース&ハートらしさ、というものに興味をもちだしたのは、さほど前のことではないのです(これは、夏あたりから出会った良盤数枚に、ロジャース&ハートのすてきアレンジ・ヴァージョンが入ってたりしたのがきっかけ大)。
これら:
Supremes:The Lady Is A Tramp
Supremes:Dancing On The Ceiling
コミカルでかわいらしくロマンチックな、この曲についてはこちら →Dancing On The Ceiling いろいろ
ということで、このThe Supremesの『Sing Rodgers & Hart』とともに、ふたりの偉大なるソングライターのことなどを。
リチャード・ロジャースとローレンツ・ハートは、1920年代から30年代を中心に、ブロードウェイ・ミュージカル、ハリウッド映画で活躍したソング・ライティングの大家(1943年、ハート没後もロジャースは作曲家として創作活動を続けます)。ふたりが出会ったのは、1919年、コロンビア大学でのこと。アマチュア・クラブ・ショーへの曲提供からスタートし、28のミュージカル、500以上の歌を書き上げたという
どの曲も多くのミュージシャンにカヴァーされているというだけでなく、その後も、オリジナル・ミュージカルを前提とした内容でほかのミュージカル映画作品にも演出として多く取り入れられているのも、名曲であり、スタンダードである証しですね。
Tony Martin & Janet Leigh:Manhattan in "Two Tickets To Broadway"
映画「Two Tickets To Broadway」
1925年、ブロードウェイ・ミュージカル『The Garrick Gaieties』での起用で初のヒット曲となったもの。その後も、この例のように多くの映画で使われています。
そして、なんといっても、代表曲は、20世紀の名曲というに値する、『My Funny Vlentine』と『Blue Moon』の2曲ではないでしょうか(事実、「Great American Songbook」にもなっているそう)。
だれもが知ってるこのナンバーですが、今回あらためて、調べてみたら、まったく知らなかったというエピソードなどもあったので、こちらにメモ φ(..*)
(知ってる方は知っているというものですけれど)
[My Funny Valentine]
The Supremes のヴァージョンが動画でなかったので、同様にロジャース&ハートものアルバムがあるElla Fitzgerald のもので。
1937年の4月に、ブロードウェイで初上演された『Babes in Arms』からのナンバー。 1300以上のアルバムに収録され600人以上のミュージシャンによってカヴァー(あらためてすごい数です)。
『My Funny Valentine』は、「Stay little Valentine, Stay ♫ Each day is Valentine day(ずっとそのままでいて、そしたら、毎日がバレンタイン)」という歌詞が印象的なジャズ・スタンダードのロマンチック曲。でも、あいかわらず、これが、ロジャース&ハートらしさといえる、詞の世界。まったくもって、まさにファニーでスウィートにコミックなところがなおさらに、な曲ですね(女性が男性にむけてだと、しゃれにもなるような気がするのですけれど、これ、男性から女性だと、ちょと。でもやはり、メッセージとして重要なのは「You make me smile with my heart」と「Not if you care for me, Stay little Valentine, Stay ♫ Each day is Valentine day」なので、ですね)。韻のふみ方も、とてもすばらしいと思います。
と、歌詞の内容に関しては、ですが、この曲、ミュージカルで使われたときは、あまり注目されていなかったのですね。
(ここから、Wikipedia:My Funny Valentineからの情報より)
ミュージカルでは、『Where or When』、『My Funny Valentine』、『The Lady is a Tramp』、『Johnny One Note』、『I Wish I Were in Love Again』が使われており、『My Funny Valentine』は、Billie Smith(演:Mitzi Green)が、Valentine "Val" LaMar(演:Ray Heatherton)に歌うというもの。でも、『Babes in Arms』が、ジュディ・ガーランドとミッキー・ルーニー出演で映画化されたときには、『My Funny Valentine』は、はずされたのだそうです。
映画:Babes in Arms
映画での登場人物の名前がかわったということも理由のようですが、おもきをおかれていればそれもされなかったはずで。1940年代にはあまりカヴァーもされていなかったよう。1945年に、Hal McIntyreの演奏、歌、Ruth Gaylorでレコーディングされたものがはじめてチャートイン。でそれでも、1週間のみ16位という記録なのだそうです。
ポピュラーになっていくのは、1952年のチェット・ベイカーのものからなのですね。シナトラのレコーディングもそのあと。そして、先にもあげたようになんと1300以上のアルバム作品への収録と。
名曲にも、なかなかに思いがけない歴史があるのですね。
『Blue Moon』もまた、いろいろと。
[Blue Moon]
『Bulue Moon』は、「ただ生きているだけ、ひとりぼっちでさみしかったわたしに愛するひとをあたえてくれた」というものが多く知られていますが(同様の内容でもすこしバリエーションありですね。解釈もいろいろ)、この曲、はじめは、ミュージカル『Hollywood Party』という作品のために書かれ、『Prayer (Oh Lord, make me a movie star)』というタイトルだったのですね、詞の内容も異なり。翌年、映画『Manhattan Melodrama』に使われたときは、『Prayer』のほか『It's Just That Kind Of Play』というタイトルもつけられて。
そのときのもの:
この時点では、曲は、特に注目をされていなかったそうです。作詞家であるローレンツ・ハートがあまりにも、そのメロディを気に入っていたため、再度、詞をかえられ、『The Bad In Every Man』として書かれ。またしてもヒットせず。
その後、MGMのJack Robbinsが、いい曲なので、もう一度詞を書いてみないか、と。さすがに、もう、すこしやる気もうしないかけていたハートが書いたのが、あの『Blue Moon』だったそう。そう考えると、詞の中にある「突然あらわれた」のは、まさにこの曲そのもの、なのかもしれません。
Supremes:Blue Moon
そう考えると、やっぱり、曲はもちろんすばらしいながら、このロジャース&ハートの世界は、メロディとともに、あの独特の詩世界があるからなのだなぁ、と思うのです。
ポピュラーになった曲のローレンツ・ハートの詞は、ほんとにすばらしくユニークで、こんな、ロマンチックでユーモア溢れ、コミカルでセンチメンタルな詞を書ける、どんな方だったのかなぁ、と関心をもつこととなりました。
私生活はなんともいえぬ人生だったようですね。かなりのアルコール中毒となり、なくなるすこし前から、コンビでの創作活動にも影響がでてしまっていたようです。
ほかにもよい曲たくさんなのですけれど、全部はおさまらないので、また機会があるときに、ほかの曲のこともふれていきたいと。
The Supremesのアルバムのことに戻り、収録曲は以下のとおり。
The Supremes Sing Rodgers & Hart - The Complete Recordings - The Supremes
収録曲:
The Lady Is A Tramp/ Mountain Greenery/ This Can't Be Love/ Where Or When/ Lover/ My Funny Valentine/ My Romance/ My Heart Stood Still/ Falling In Love With Love/ Thou Swell/ Dancing On The Ceiling/ Blue Moon/ Manhattan / The Blue Room / With A Song In My Heart/ Spring Is Here/ Little Girl Blue/ It Never Entered My Mind / There's A Small Hotel/ You Took Advantage Of Me/ Bewitched, Bothered And Bewildered/ Wait Till You See Her/ I Didn't Know What Time It Was/ Johnny One Note/ I Could Write A Book/ Medley
(アルバムは、すこしプレミア的プライスとなってしまってるようなので、わたしは、iTunesで購入)
全曲はみつからなかったのですけれど動画での再生リストを作成してみました。
The Supremes:Sindg Rodgers and Hart:再生リスト
(投稿:日本 2011年12月5日、ハワイ 12月4日)
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The Supremes Sing Rodgers and Hart (アルバム) そして Rodgers and Hart のこと
投稿者 むぎ茶 | 23:42 | 1930年代, 1960年代, ジャズ/ ワールド その他, 映画と音楽, 洋楽ポップス&ロック | 0 コメント »
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