チェット・ベイカーのボーカル作品、以前から動画などでときおりは聴くことあったのですけれど、最近、またかなり気になりとあり、アルバムをきちんと聴いてみました。
選んだ一枚は、ボーカルものとしての代表作である『チェット・ベイカー・シングス(Chet Baker Sings)』。
もっと早くにちゃんと聴いておけばよかったなぁと思いながらも、タイミングというのは、くるときにくるものなので、遅い早いは関係なしに、これからのお気に入り作品入り、となるようです。
有名作品だけに動画などでも、全曲聴けるのですけれど、やっぱりアルバムで聴くのはよいですね。
ボーカルのよさだけでなく、選ばれたスタンダード・ナンバーのぴったりさ、つくづくです。よくもここまで、声の雰囲気にあった作品を選んだなぁという感じです。
チェット・ベイカーのボーカル、独特のスタイルがなんともいえずですね。よく中性的などとも解説では表現されていますが、声質、レンジでいえばそういう部分があるのでしょうけれど、似合うのは宙ぶらりんな感情をうたった男性もの。悲哀というのともまたちがう、センチメンタルさとか。まさに、このアルバムの曲たちのような。そして、歌い流すような感じが、むしろ、歌いあげるタイプのひとよりも、そんな曲たちに、あうような気がするのです。
じつによいですね…。
季節的にも、まさに晩秋、初冬的。
全部よいのですが、アレンジが気に入ったのは、こちら、『My Ideal』。
(チェット・ベイカーらしいという曲は、ほかにもあり、また『My Funny Valentine』がおなじみではありますが)
どうしてもきらきら音にはひかれてしまいます。なので、この曲のアレンジ、そのきらきらさとトランペットの音質の対比の妙がなんともよいですね。曲のメッセージとしてもあった感じではないかと思います。
Chet Baker:My Ideal
収録曲:
That Old Feeling(L. Brown, S. Fain)/ It's Always You(J. V. Heusen, J. Burke)/ Like Someone In Love(J. V. Heusen, J. Burke)/ My Ideal(N. Chase, R. Whitning, L. Robin)/ I've Never Been In Love Before(F. Loesser)
マイ・バディ - My Buddy(W. Donaldson, G. Kahn)/ But Not For Me(G. Gershwin, I. Gershwin)/ Time After Time(S. Cahn, J. Styne)/ I Get Along Without You Very Well(H. Carmichael)/ My Funny Valentine(R. Rodgers, L. Hart)/ There Will Never Be Another You(M. Gordon, H. Warren)/ The Thrill Is Gone(L. Brown, R. Henderson)/ I Fall In Love Too Easily(S. Cahn, J. Styne)/ Look For The Silver Lining(B. DeSylva, J. Kern)
全部あったので再生リスト:
このアルバムに関して、そうだったのかぁ、と知ったこと。
このアルバム、1954年と1956年のセッションものからなっているそうですが(ざっくりとは、A面が1954年、B面が1956年)、モノラルからステレオ化再発の際に、オリジナルのマスターテープに、レコーディングに参加していないジョー・パスのギターが、オーバーダビングされてしまったのだそうですね。マスターは抹消され、喪失かというハプニングもあったそうですが、1985年に東芝EMIの御殿場倉庫にオリジナル・モノラルのテープコピーが。その後、1988年に、さらによい状態のテープが発見され、CDでは、ほとんどがそのヴァージョンで、だそうです。
こちら、解説などは量的にも全部は記載できませんが、オリジナル・ミュージカル、ミュージカル映画たどりの参考にもなりそうです♫
(投稿:日本 2011年12月16日、ハワイ 12月15日)
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