きょうは、『Maltese Falcon マルタの鷹』を聴きました。

加藤和彦さんのソロとしての、安井かずみさんとのワーク、さいごから、2枚目のアルバム。1987年の作品、加藤和彦さんが、40歳のときの作品。

この、『Maltese Falcon マルタの鷹』加藤和彦さんのもので、所有しているアルバムの中で、あまり聴きこんでいない作品でした。

「フェイク・ジャズ」ということで取り組まれ、モダンジャズ的なサウンドをほぼ打ち込みで作ったというもので、この発想も、加藤和彦さんらしい、こだわりゆえ。

2008年のインタビューなども参考にしながら。

「やらないよね!普通はね(笑)。まあ本当の生のジャズの人を呼んで録音したら違うモノになっちゃうという気がしてたし、それはイヤだったんだようね…」

これは、「ジャズのひとが…」というわけではなく、きっと、自分の作品であるということへのこだわり、だったのかなぁ、と。ひとの音ではない、とか、打ち込み(フェアライト CMI)でできること、というものをきわめてみたい、とか、そんなことだったのかもしれませんね。

パリ録音で、カルロ・サビーナのアレンジで、パリ録音でオーケストラ演奏でおこなった曲に関しては、どちらも、アルバムのそれぞれの面(アナログ時)の最初の曲なので、導入として、生音の感じを使いたかったのかなぁ、とも。

カルロ・サビーナ氏は、ニノ・ロータの影武者という方で、譜面おこしやオーケストレーションなどでっても重要な役割をされてた方なのですね。

このアルバムでも、安井かずみさんの詞は、
映画の中にいるような、小説の中にさまよいこんだような、日常とは別な世界をみせてくれるのですが
いわゆる憧れの夢の世界ともちがう、というところが、なんとなくほかの世界とちがっていて

"ハードボイルド"的な世界というのは、いつかは、何とかしたいな、と思っていた中で、ずっとご自身の中であったものだと。

「聴くひとのことはあまり考えてないよね」と、ご本人は。

やっと自分がすこし、追いついてきたのでしょうか。
きょうは、また、ちがって聴こえてきました。


(↑アルバム、バックサイド)

「追いついた」という表現を使いましたけれど、これは、いろんな意味で、です。

加藤和彦さんに関しては、「早すぎた」という表現なども使われたりしますけれど、サウンドの技術では、あたらしいものをどんどんとりいれたり、という部分では、そうなのでしょうけれど、また、そういう部分とちがう面での表現では、「早すぎた」というのとも、ちょっとちがうと思うのですよね。
いつも、そんなこと、考えたりします。でも、よい言葉がみつからないので、ひきつづき、考えます。

収録曲:
作詞、作曲は、ZUZUさん、加藤さんなので、略しますが、編曲、加藤さん以外のものは記載。

Artichoke & Frescobaldi/ Cozy Corner(編曲:カルロ・サビーナ)/ Fancy Girl(編曲:清水靖晃)/ China Town/December Song/ Joker(編曲:カルロ・サビーナ/ Baccarat Room(編曲:清水靖晃)/ Turtle Club/ Just a Sympathy / Midnight Blue(編曲:清水靖晃)


ご自身お気に入りは「FANCY GIRL」。
イントロ、たしかにすばらしく、あぁ、打ち込みでここまでできるのだなぁと感じさせてくれますね。間奏は、清水さんとさぐりながら、だそうです。

わたしは、「COZY CORNER」が、あらためて、すごく好きになりました。
サウンドも、そして、コージーな場所の居心地が好きだったりするので…。
歌詞の「小さな宇宙」も。
この曲は、チェット・ベイカーっぽさを意識したナンバーとのこと。


COZY CORNER:




FANCY GIRL:



DECEMBER SONG:



TURTLE CLUB:



明日は、ご命日ですね。
きょうは、NHK BS プレミアム(再放送)2011年10月16日(日):午後4:30~午後6:00特集「早過ぎたひと 世紀の伊達(だて)男 加藤和彦」(優雅な生活こそ最高の復讐である もうひとりのフィッツジェラルド 加藤和彦)をみました。
いろんなこと、思いました。

番組案内引用:
「あの素晴しい愛をもう一度」など数々の名曲を生み出した加藤和彦は2009年10月、自らの命を絶った。音楽だけでなく、生き方そのものに強烈な美学が貫かれていた。加藤がいなければ、日本の音楽シーンは10年遅れていたともいわれる…

みなさんの思いもさまざまですよね。
視聴しながらのそれぞれのコメント、アラッポ・カーロさんが、トゥゲッターにまとめてくださっているものをリンクさせていただきます。
http://togetter.com/li/200967

(投稿:日本 2011年10月15日、ハワイ 10月14日)

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