先日、電車で外出の際に、わが町のフリーマガジン『牛込柳町界隈(今昔)』の最新号を駅で入手。このコミュニティマガジン、「読物」調で、特集も地域に関係し、かなりトピックをしぼった内容でとてもおもしろく、毎回発行をたのしみにしている愛読誌のひとつなのです(タウン誌といっても広告やクーポンばかりというものでなく、スタッフの方の町に対する愛を感じるような「牛込を愛するひとの為のコミュニティマガジン」(このコピーどおり)なのです。大江戸線の牛込柳町駅、若松河田駅、牛込神楽坂駅、そして地域界隈のお店などにおいてあり、年4回発行)。
特に歴史探訪という特集ページがおもしろく、毎回2つづつという充実ぶり(全15ページぐらいのものなので、その中のかなりをしめてます)。今回は、「歴史探訪」第二特集および「歴史こぼれ話」というページにも、島村抱月、松井須磨子のことなどがあり、いままでは点として知っていた場所もなんとなく線となりとても興味深く。また、よく知られているエピソード、島村抱月旧居、芸術座跡地など以外の細かい場所や作品も並列して書かれているところが、さらなる興味へといざなってくれたり、脱線させてくれたりで楽しませてくれます。
(これは道に立っている新宿区の文化財説明も同様で前後関係わかりやすい説明です。音楽・文芸・演劇関係とくに。なので、よく足をとめては見入ってしまします)。
坪内逍遥の文芸協会演劇研究所跡も含め、島村抱月旧居、芸術座跡地、松井須磨子の墓のある多聞院などはこちらにも散歩ガイドが。
東京紅団:松井須磨子を歩く:島村抱月旧居、芸術座跡地
松井須磨子さんに関しては、くわしくは
Wikipedia:松井須磨子にも。
そして、このブログの内容も、直接その特集「歴史探訪」とは関係していないのですけれど。
坪内逍遥の文芸協会演劇研究所の第一期生であり、その後、文芸協会を離れ島村抱月と松井須磨子は神楽坂に芸術座をおこしますが、この演劇研究所第一期生ということもあり、とらえ方にもよるのですが、近代演劇という意味では女優第一号ともいえる方。
やはり、なにごとかが「初め」であるといろいろなものが、「初」なものですね。
帝国劇場で初演し、須磨子が一躍大スターとなった劇「復活」(トルストイ原作、島村抱月訳・脚本)では、その中で歌った『カチューシャの唄(復活唱歌)』が大ヒット。当時で2万枚以上売り上げたという情報もみかけましたので、これはすごいヒットですよね。
『コロムビア創立100周年記念企画 伝説を聴く』でも1曲目に収録(2曲目も須磨子曲)。
(ちなみに、この企画CD「東洋のマタハリ」と呼ばれた女スパイ「川島芳子」の歌唱など、という説明もよいですね)
復活唱歌(カチューシャの唄) ~松井須磨子~
1915年(大正4年)録音
作詞:島村抱月、作曲:中山晋平
レコーディングは、大正4年ですが、1914年(大正3年)の作品。
ということで、松井須磨子の第一号、「初」は
-近代演劇女優
-歌う女優
流行歌のはしりのひとつ、ともいわれているこの曲、劇場には歌詞が貼られ、歌お目当てのお客さんもいたとか。
そして、『カチューシャの唄』は「日本初のCMソング(おそらく)」でもあるのですよね :)
堀越嘉太郎商店のホーカー液という化粧品の広告に
アラッポ・カーロの備忘録:日本初のCMソング(おそらく) 「カチューシャの唄」
なのですが、まだ知らなかった歌に関する「初」をこのたびの調べで知りました。
1917年(大正6年)に発売したレコード『今度生まれたら』は、その歌詞の内容で、日本における発禁レコード第1号となってしまったのだと。作詞は、北原白秋(発禁曲、作詞家第一号ともなるのですね)。こちらも中山晋平の作曲。
芸術座劇「生ける屍」の劇中かなのですが、この頃になると、松井須磨子ほか出演者の歌はかかせぬものとなっていったそうで。
今度生まれたら 松井須磨子 (芸術座劇「生ける屍」)
1917年(大正6年)ニッポノホンレコード 2530
ちょっと滑稽な歌詞で、さほどと思ったのですが、
「歌詞の中にある「かわい女子(おなご)と寝て暮らそ」の部分が当時の文部省により猥褻扱いされ…」(Wikipedia:松井須磨子より)
が、いけなかったそうです。
「かわい女子(おなご)を置きざりに」
は、ではないところがまた…ある意味当時らしいですね。
「今度生まれたら」歌詞
d-score 楽譜 - 今度生まれたら ---- 北原白秋/中山晋平
劇「生ける屍」(トルストイ原作)では、ほかに『にくいあん畜生』と『さすらいの唄』も歌われています。
おまけ:
そして、あの名曲『ゴンドラの唄』は、芸術座第5回公演『その前夜』(ツルゲーネフ原作)からのものなのですね。
ゴンドラの唄 松井須磨子
作詞:吉井勇、作曲中山晋平
(投稿:日本 2012年1月18日、ハワイ 1月17日)
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