安田南さんのエッセイ集『みなみの三十歳宣言』読みました(すこし前に読了)。



この本、ずっと長いこと気になり読んでみたいと思いつつも、現在は絶版となってしまっているものなので、いつか古書ででもみつけられればと、なかばあきらめていたのですが、「もしかして」、と調べてみたところ、図書館にあり。

いままでも、安田南さんについて語っているいろいろで、ジャズ・シンガーおよび歌手としてだけではなく、その文才に関して触れているものを目にはしつつも、実際に彼女の文章を読んだのは、これがはじめてで。

1972年(昭和47年)から1977年(昭和52年)までに、雑誌などに掲載されていたものがあつめられたもの。なんともいえずいいですね。文章ももちろん、そこにながれる空気というか。ひきこまれるというのとはまた異なる感覚なのですけど。じつに、さらりと。飄々としているというのとも、またどこかちがう。どういった感じというと、彼女の唄と同じ空気。わたしの思うところの「安田南」であるといったところでしょうか。
それぞれ別に書かれているエッセイだったり、ある時期の連載だったりですけど、一冊の本としての『みなみの三十歳宣言』、編集もすばらしいですね。ひとつの流れのようなものを感じます。ひとつの流れといっても、けっして一直線というわけではなく。

安田南さんは、ある意味、伝説のひととなっているということもあり、いろいろに語られていたりしますけれど、わたしは、リアルタイムで知らないだけに、記憶として語られているさまざまなこと(実際のいろいろや推測も、かなり事実にはもとずいているもの多いのですけど、その捉え方かなぁ)を見聞きしても、じぶんの感覚でその歌声から感じられるものをうけとめます。彼女の文章には、歌声と同じ、それがある。

まずは掲載されていた文章のタイトルだけこちらに。

『みなみの三十歳宣言』
- わたしの教室はジャズ喫茶だった 大和書房<風をつれて地球を歩け> 76.2.25
- かつてわたしも高校生だった <ワンダーランド> 73.8
- NEXT FIRE!  <ワンダーランド> 73.9
- みなみの三十歳宣言 <宝島>  73.12
- 瀬戸内晴美さんのことなど <宝島> 74.2
- 生きるための酸素が足りない! <宝島> 74.2
- 金鳥の夜のジャズ <話の特集>75.6
- MINAMI BLUE <JAZZ> 73.8
- ハロー・グッバイ <朝日ジャーナル> 72.2.11
- かぼちゃ畑に月も出る <JAZZ> 72.1~2
- ミナミの人生相談 <宝島> 75.12~76.6
- 男と暮らしてみると…… <婦人公論> 73.10
- 「彼女」たち <野性時代> 76.6
- 男と女<思想の科学> 75.10
- 書きたがり屋の多いこと <思想の科学> 75.11
- たとえば靴のことなど…… <思想の科学> 75.12
- 「茶ぶ台うさぎ」のこと <思想の科学> 76.1
- 「家庭科」の時間には家庭のことなんて考えはしなかったけれど <思想の科学> 76.2
- わたし、現在三十一歳、独身 <宝島> 75.8
- 旅を捨てよ、家に居よう…… <朝日ジャーナル> 72.1
- 気まぐれ飛行船 <新評> 76.11~77.1
- 気になる男 山下洋輔 <婦人画報> 76.10
- ブリューゲルとマグリット<アート・トップ> 76.10
- わたし自身が知らないわたし自身の二、三の事柄 <JAZZ> 71.10
- わたしはわたしです <話の特集> 72.4

安田南さんがある日ふとどこかへ姿をけしてしまったというのが1978年?1979年?(1978年としてあるものが多いのですけど、どうも1979年のはじめにも担当ラジオ番組にでてたみたいなので、1979年なのでは…ということです)のことなので、その1年前まで、ということで。いまでも、安田南はきえたまま、ということも語られてはいますけど、2009年に他界されてたのですよね。
清流出版:高崎俊夫の映画アットランダム:安田南 いま、いずこ

エッセイに書かれてること、もちろんの歌手としてはアルバムのこととか、黒テントなど女優としてのこと、また交流のあった方々、関わった物事、こちらにも記しておきたいこともいろいろですけど(じぶんでは雑メモとってあるのですけどね)、いちどには書ききれないので、すこしづつ。つづきとしてだったり、そんな気分なとき、また、ちょっと関係あることが気になったときなどに。
(こちら、くわしいですよね。トントン雑記貼:安田南がいた時代

いま、その歌声とは別に聴くことができるのは、感謝感謝である、片岡義男さんとのDJでのラジオ番組『気まぐれ飛行船』の音源。番組の最後の「眠れわるい子たち」というひと言が、なんともいえずよいですよね。この番組については、前にもいちど、FM25時 きまぐれ飛行船 片岡義男/ 安田南ということで書いてるのですけど。

すこし前に、この「眠れわるい子たち」というメッセージについて、ご本人が語ってる『気まぐれ飛行船』放送分の録音みつけたので。
(ちょっともどりますが、この方の説明に1979年の初春の放送分があると)

安田南 in 気まぐれ飛行船 with 片岡義男[6/6]:
なんともいえず、よい角度での角川な世界ですね。この放送分の来週にあたる回の歌謡曲ってどんなのかかったのでしょう。



そして、眠りのつながりで、この曲もこのエンディングとおなじような雰囲気もあるような。
コーヒーメーカーのCMソングで。これ好きなんです。

ナショナル コーヒーメーカー:眠り続けた男は
歌:安田南
作詞:伊藤アキラ、作曲:桜井順



安田南さんのこと、つづく。

(投稿:日本 2012年6月12日、ハワイ 6月11日)

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