ささっとではありますが、バーバラ・ムーア(Barbara Moore)の1970年代初期ワークをつづけてみて、インタビュー・ビデオにも興味深いお話があったので、それ以前のワークや参加プロジェクトなどについてすこし。

父がアーサー・バークビー(Arthur Birkby)ジャズマンであったこともあり、いつも音楽に囲まれ、こどものころから優れた才能をもっていたバーバラは、高校でもクラシック音楽を学び、卒業後には、ザ・レイディーバーズ(The Ladybirds)というボーカル・グループで活動をはじめたそう。The Ladybirdsは、イギリスBBCのポップス番組で"Top Of The Pops"で人気ミュージシャンのバック・コーラスをしたり、継続出演していたグループ。サンディ・ショウ(Sandii Shaw)やジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)とも共演し、サンディには、ユーロヴィジョンへもコーラスとしてお供したとのこと。

このレコーディング時にバーバラが所属していたかははっきりわかりませんが、レコーディングされてるものとしては、これなんかもそうでしょうか。EMIだし。この曲のコーラスである"The Ladybirds"はその"The Ladybirds"かと。

Dany Chandelle with The Ladybirds - LYING AWAKE (1965) 編曲・指揮:マーク・ワーツ(Mark Wirtz) ウォール・オブ・サウンド的な感じを意識したものだとか

もともと音楽の土台はクラシックとジャズですでにしっかりあったうえ、若い感覚と、このようなコーラスでのボーカル・ワークでいろんなスタイルも吸収していっていたのでしょうね。

ある日、作曲家リストでバーバラのプロフィールをみた制作サイドから、「アレンジできるんだよね。やってみる?」と声がかかり、初めてアレンジをすることに(制作側も若くてフレッシュなテイストを取り入れてみたかったのかもですね。リストの下の無名な作曲家、女性を選んでみるという冒険に)。
ディーナ・ウェブスターという女性ボーカリストのアルバム『TUESDAY’S CHILD』での『スカボロー・フェア(Scarborough Fair)』。バーバラは、この曲をチェンバロをきかせて、ちょっとサイケデリックロックの雰囲気も取り入れたアレンジで仕上げてみることに。

Deena Webster - 'Scarborough Fair' (1968)

数十年経てもフレッシュな記憶。
1968年、当時、男性主体の音楽制作界。コーラス・ガールだったバーバラは、ふわふわのピンクのミニ・ワンピースにブーツといういでたちでスタジオへ。
きょうのリーダーはどこだい?と尋ねるスタジオ入りしていたミュージシャンたちに、バーバラが自分がアレンジャーであることを告げると、そんな訳ない、とみんなが笑い(この演奏にはバーバラのお父さんも参加していて、唯一笑わなかったそうで)。もうドキドキ、ひやひや、ぶるぶる…
楽譜をわたし、さっと指揮をはじめたとたん、バーバラ自身もミュージシャンたちもそのアレンジとサウンドの波にのり、ドラマチックなサウンドの誕生。それが、バーバラの初仕事の思い出。
このインタビューでは、初仕事のレコーディングでのエピソードをバーバラはいきいきと語ってくれています。

同年には、"Voices in Latin"という名義のボーカル・グループで『Something Cool』リリース。Sergio Mendes & Brasil '66をも感じさせるようなスタイルですね。カヴァーのアレンジもよい感じです。このアルバムには初めての作曲作品『Hide Away』も。

Voices In Latin (Barbara Moore)- Sunshine Superman (1968)

Voices In Latin (Barbara Moore)- Hide Away(1968)

ボーカル・ワークでは、スタン・ブッチャー(Stan Butcher)率いるBirds and Brassでの活躍も自身活動初期から長いですね。キース・ロバーツ(Keith Roberts)むかえての1970年代に入ってからの作品にも参加してますね。

Stan Butcher and his Birds and Brass (w/ Barbara Moore)- Should I (1966)

Birds & Brass - Soul Bossanova(197X)
こちらにもっとたくさんの曲が。Soundsational Sort of Soul / Birds 'N' Brass

バーバラ自身がリーダーとなったボーカル・グループ、"Barbara Moore Singers"もとっても楽しくてかわいくてさわやかな作品ありますね。1960〜1970年代のこども番組などのために用意されたライブラリー音源を集めた『Fuzzy Felt Folk』というアルバムにも数曲収録されてます。こちら、お父様、アーサーとのワークもあるようですね。

The Barbara Moore Singers -The Elf

このアルバム、ほかのアーティストの曲もすばらしく、ちょっと欲しいなぁと思ってます:)

http://www.youtube.com/playlist?list=PL1800CCE1DC218B3E(再生リストありました)

日本でいえばと例えるともどうでしょう、ですが、バーバラさんってなんとなくPICO(樋口康雄さん)と伊集加代子さんとあわせたような感じの方ですね。

このほかにもラジオやテレビの人気番組のオープニング、ジングルなどにまつわるお話や音源いろいろ、バーバラ・ムーアのサイトにあります。ひとまずという感じのまとめでした。

Barbara Moore
http://www.barbaramoore.co.uk

(投稿:日本 2012年11月21日、ハワイ 11月20日)


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