日活100周年にちなんだ上映会や展示をみにいったりと、この秋はちょっと日活づいたりしてましたが、けっこう、まだこれ観てない、あれ観てないという作品多いのですよね。
ということで「おうちで勝手に日活祭り」ということで(コンピューター環境、ファイルお引越しなどしてて、投稿、また間があいてしまいましたが…)、このところ、映画作品としてかつ音楽も気になりなもの、時間ができた折には、自宅でのビデオ、DVD観賞などもいたしておりました。

先週は、鈴木清順監督の『殺しの烙印』を。

じつに、じつに、すばらしいですね。
ジャームッシュ、クエンティン・タランティーノ、ウォン・カーウァイほか、多くの海外映画人も影響をうけたというのは、まことに納得です。

いままで、鈴木清順監督の作品は、リアルタイムおよびちょっと遅れのほぼリアルタイムなど、再稼動はじめてからの作品になじみがあったのですが、そこでよく云われる「清順美学」。 この作品にはその「美学」、変則的でありながら、ならではの映像美、形式、フォーマットが。

映像ならではの「動」のショットと写真的な「静」の切り取りの織り成す世界。コントラストのきいた照明がとても印象的で。たまらなくスタイリッシュでクールであり、また、トリッキーでコミカルでもあり。
テーマとしてはフィルム・ノワールといってよいのでしょうが、アーティスティックな表現でのニヒルさとエンターテイメントな要素と流れがちゃんとある。

はじめのあたりに出てくる赤坂ミカドのネオンもすてきです

そこにさらに魅力を添えるのが、サウンド。音楽担当として山本直純氏が手がけるスタイリッシュなジャズがまさにです。

殺しの烙印─BRNDED TO KILL ,STYLE TO KILL─ 予告篇

テーマは「清順調」を感じさせつつ、ハープシコードでしあげた殺し屋サウンド。歌っているのは「具流八郎」(後述)のおひとりでもあり、ナンバー4の殺し屋として出演もする大和屋竺さん。この曲については、『けんかえれじい』でも作曲をつとめた楠井景久さんで、山本直純さんはアレンジのみ

「殺し屋のブルース」
歌唱:大和屋竺
作詞:具流八郎、作曲:楠井景久、編曲:山本直純

ボーナストラックも入ったサントラ盤もありますね。

スコッチとハードボイルド

ハナダ・バップ

宍戸錠さんかっこよく、女優陣もですが、みなさんよいですね。出演は、宍戸錠、小川万里子、真理アンヌ、南原宏治、玉川伊佐男ほか。
脚本は、映画創作集団「具流八郎」(=鈴木清順、大和屋竺、木村威夫、田中陽造、曽根中生、岡田裕、山口清一郎、榛谷泰明)としてのデビュー作で、かならずしも脚本(ホン)ということでなく、演出含め、それぞれの持ち味感じます。
ここでやはり「ぐる(具流)」というあたりにも、語源さまざまではありますが、映画のあり方への問いかけ、一歩踏み出した実験としての表現、革新のセンスですね(参考:グル:語源)。

あらすじ(リンクにしておきます)

さきにも触れましたが、アートとエンターテイメント、ニヒルな世界とコミカルな要素、独特のバランスが、この作品の魅力ですが、当時の日本映画としては理解されずらい面でもあったのでしょう。 でも、1967年といえば、時は、すでに「昭和元禄」な頃。先端ではあれど、まさに時代の空気にあった作品のように思うのですけど
「わけのわからない映画」と、当時の日活社長・堀久作の逆鱗に触れ専属契約打ち切りということに。

考えられていた『殺しの烙印』の続編はシナリオ執筆中に制作中止。
そして、日本映画史に残る大騒動。鈴木支持の映画人や学生はそれに反対し、「鈴木清順問題共闘会議」結成、鈴木清順氏は日活提訴し法廷へ、その後約10年間、監督としての活動にブランク、というなっていく訳で、そのあたり、リアルタイムでのいろいろを考えてみたかった気も。
(…とは言っても、当時、この作品は成人カテゴリーだったようですし、その頃のこと考えると女性としてはみることのない映画でしょうけどね)

この度、はじめて知りましたが、2001年の鈴木清順監督作品『ピストルオペラ』って、『続・殺しの烙印』とは異なるものの『殺しの烙印』の後日談的なものなのですね。観てみたくなりました。

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<関連で>
鈴木清順監督作品の日活映画音楽集ということで、『素ッ裸の年令』から『殺しの烙印』まで、各作品2、3曲づつの『日活映画音楽集~監督シリーズ~鈴木清順』聴いてみました。
音楽担当は、渡辺宙明、三保敬太郎、大森盛太郎、伊部晴美、奥村一、池田正義、山本直純ほか。
『探偵事務所23 くたばれ悪党ども』(音楽担当:伊部晴美)もかなりよいですね。

(投稿:日本 2012年10月24日、ハワイ 10月23日)


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